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エコロジーと人権人間中心主義へのアンチターゼ
人権というのは,普遍性を持った概念と捉えられる場合が多い.しかし,それは地球上におけるホモ・サピエンスという種に限った理論であり,生命体,非生命体にまで拡張されて普遍的な存在に至っていないことは容易にわかる.



本書は,評論を中心とし,そのような人間中心主義への批判を展開している.環境に関する平等とは,ジオグラフィックな位置やデモグラフィックな地位によって生じる人間の間の差異について,平等であるということを意味しているのだが,それは人間中心主義上の平等である.景観のように,自然を利用価値のあるものとして保護するという見方も然りである.局所汚染に対する規制,特に燃料効率の良いディーゼルのNOx排出など,地球温暖化対策からするとプラスとも思える事象とバッティングする内容も,道路周辺住民の人権という観点から制定されている.



また,エコファシズムについての考察もされている.個人の権利を制限して環境を保護するエコロジー的強制は,全体主義的な傾向を示す.地球全体主義ともいえる考え方は正当性を主張できるのか論じられている.



当たり前のことだが,人間は生物の1種であり,生物は非生物とともに地球を構成している.その人間がどうあるべきかという,根源的な存在意義が問われている.






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