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日本の思想 (岩波新書)難しいが一読の価値あり
日本を代表する政治学者である丸山真男の代表作の一つ。本書は4章からなりたっているが、前半の1・2章は、私には難解だった。3・4章は、講演録を元にしており、ですます調で書かれているのでやや読みやすいが、4章はやはり難しかった。

1章で印象的だったのは、近代日本思想の「國體」についての項で紹介された摂政宮狙撃事件の果てしのない責任の負い方、御真影を燃えさかる炎の中から取り出そうとして多くの校長が命を落としたというエピソード。今では考えられないことが現実にあったのだ。

3章は比較的分かりやすかった。組織のタコツボ化問題とイメージの一人歩きの問題について述べられている。現代社会では、TVやインターネットなどの情報媒体が発達しており、実際に自分が会ったことも見たことも無い人について、あれこれ言うわけだが、それはあくまでもイメージにすぎない。日本を牛耳っているのは官僚だと考えられているが、当事者である局長や部長級の役人がやはり被害者意識であるという。これもイメージの一人歩きである。

50年近く前の著作であるが古びていないのは、丸山氏が日本社会における歴史的に普遍的な問題を指摘したからであろう。




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